2006年11月30日

格差をつくる意味

今日HDRにぶち込んであった番組を見た。NHK−BSで18日に放送された「高校生を獲得せよ〜米軍リクルート最前線〜」 というNHK制作のBSドキュメンタリー。

内容はイラク侵略→駐留の長期化で兵士不足に陥った米軍のリクルート活動を追ったもの。その現状は私の想像以上だった。 リクルーターがまさに営業マンよろしく高校生のいる各家庭に電話をかけ「一度リクルートステーションにおいでよ。将来のこと話そう」 などと子どもに呼びかける。一人獲得につき1000ドルのボーナスが出るらしく、そりゃあ必死に電話をかけまくっている。 ちなみにリクルーターによる犯罪行為もまかり通っているようです。

この営業活動を効率的にしているのが02年に成立した通称「落ちこぼれゼロ法」。 高校からのドロップアウトをなくそうという趣旨の法律だ。長大な法律のようだが関係する部分をシンプルに言えば 「すべての高校は軍の求めに応じ生徒の個人情報を提出しろ。進路指導においても大学、企業と同列に扱え。拒否?じゃあ補助金削減」 というムチャクチャなものだ。

むろんこれに反対する動きもある。「情報流通促進計画」 さんがふれてらっしゃる(いつもご苦労様です)が、この条項には但し書きがあって、 生徒の親と本人のサインつきの書面を提出すれば個人情報の提出を拒めることになっている。実際に拒否署名運動を行う学校もあるようだ。 ただこれはあくまで少数例。正直歯止めになるとは思えない。 なぜなら彼らのうちほとんどは軍に入らざるを得ない状況にすでに追い込まれているからだ。

以前のエントリでも書いたのだけれど、 アメリカで貧困層が大学進学をするためには軍隊に入るしかほぼ道はない。先日コロンビア大に留学中の友人を訪ねてニューヨークを訪れた際、 一番驚いたのが「大学の寮は月1000ドルもする」ということ。いくらバブル真っ只中のマンハッタンとはいえ学生寮ですよ。 学費も考えたら一般市民が到底まかなえるレベルではない。前述の「情報流通促進計画」 ではこの学費援助のカラクリを暴くブログも引用しているが、これではほとんどサギだ。

気の毒だったのは入隊後半年も経たずにイラクへ派遣された女性。朝5時(!)に駐車場で10数ページに及ぶ契約書にサインを求められ、詳細 (海外派遣の命には必ず従いますなど)を確認する間もないのに(おそらく)眠い目をこすりながら次々と署名。その結果、 文字通り気付いたらイラクいた、である。別の帰還兵が直接的な言葉を吐く。「これではまるで低所得者を狙い撃ちにした徴兵制ではないか」。 志願制の名を騙っているだけにより悪質だ。親の所得や身分が関係ない徴兵制の方がまだフェアだもの。

アメリカにおいては、貧乏人は大学で学ぶためにすら命をかけなければならない。 そしてその米国や英国の教育制度を下敷きに教育改革を進めようとしているのが教育再生会議 (ちなみに会合の模様は非公開)、そして安倍チャンなわけです。

”徴農”なんかを真顔で議論する連中だ。想像するだにヤんなっちゃうが、そのうち体育教育の一環として「一週間体験入隊。単位参入できます」 とかマジでやりそう。

ちなみにBSでは海外ドキュメンタリーという枠もある。文字通り海外の放送局、 制作会社がつくったドキュメンタリーをNHKが買い付けて紹介するもの。世界あまねくだから当然水準は高い。これまでも 「ダーウィンの悪夢」(すごい作品です!!) などの並外れた番組を放送している。

この枠(再放送も含め毎日10時10分〜と21時10分〜の50分枠)だけでも衛星視聴料を払う価値はあると思うし、 もっと視聴者数が見込める時間帯に移して欲しいとも思う。もはや報道の体をなしていないのだから、 ニュース7だか9だか10だか知らないがやる必要もない。年末も紅白なんかつぶしちゃっていいからさ。

posted by Aequitas at 07:47 | 沖縄 ☔ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドキュメンタリー
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Weblog: 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士
Tracked: 2006-11-30 08:20
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