2006年11月25日

「未来」を奪うのは誰?

いつもお邪魔している「情報流通促進計画」でにわかにはシンジラレナ〜イ記事があった。 以下引用。

【伊吹文明文部科学相は24日午後の参院教育基本法特別委員会で、教育行政について「教育は、 法律の定めるところにより行うべきもの」と規定した政府の教基法改正案について「国会で決めた法律は、国民の意思で全体の意思だ。 これと違うことを特定のイズム(思想)や特定の思想的背景を持ってやることを禁止しているのがこの条項だ」と述べ、 法に基づく学習指導要領などの運用の在り方が法改正で明確になるとの認識を示した。】という。

これは、大変なことですよ。「特定のイズム」や「特定の思想背景」っていうとおどろおどろしいように思えるかもしれないが、 そもそも時の政府が学習指導要領によって行う教育自体が一定の思想に基づく。つまり、時の政府の思想は押し付けるが、それ以外の思想、 時の政府に反する思想は教えてはいけないということになる。

以前のエントリでも他ブログを引用してふれたのだけど、 愛国論争などというものはこの「法律の定めるところにより」の重要性を隠す煙幕でしかなかったのだと思う。 いくら崇高な理念を掲げようがかまわない。この文言がある限り下位法によって教基法は骨抜きにできるのだから。

それはそれとして憲法、そして民主主義への理解が根本的に欠けているこの妄言には怒りを通り越して哂ってしまう。 文部官僚も頭を抱えているのではないか。「バッカじゃねーの。 せっかく苦心して勘所の条文を潜ませたのにそんな明からさまにしゃべってどうすんだよ」って。

どんなジジイかと思ってサイトを訪問。そこで例の悪名高い(?)メッセージを拝見した。

未来のある君たちへ

弱いたちばの友だちや同級生をいじめるのは、はずかしいこと。仲間といっしょに友だちをいじめるのは、ひきょうなこと。 君たちもいじめられるたちばになることもあるんだよ。後になって、なぜあんなはずかしいことをしたのだろう、ばかだったなぁと思うより、 今、やっているいじめをすぐにやめよう。

いじめられて苦しんでいる君は、けっして一人ぼっちじゃないんだよ。お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、きょうだい、 学校の先生、学校や近所の友だち、だれにでもいいから、はずかしがらず、一人でくるしまず、いじめられていることを話すゆうきをもとう。 話せば楽になるからね。きっとみんなが助けてくれる。

安倍チャン用のスピーチ原稿? もうちょっと常用漢字を使うべきでは。

それはともかくこの認識は根本で誤っている。「いじめられるたちばになる」と思うからより一層激しく攻撃を加えるんじゃないか。 そうやって自己防衛してるんだよ。「いじめられていることを話すゆうき」だ? いじめの結果、 自己否定が徹底的に進んだ子どもにそんな余力は残っていない。文字通り生きていくだけで精一杯なんだよ。

はっきり言う。かけがえのない「未来」を奪っているのはほかならないあなただ。教職員から、 そして子どもたちから自由を収奪し、そのすべてを文教利権へすげ替えようとしているのだから。

これも別のエントリと関係するが、 私はこれだけ教育予算を減らされながら、 かつ横行するパワハラなどストレスフルな環境に教職員が追い込まれながらまだ日本の教育水準が一定の水準を保っている (これについてはまたいずれ)ことにむしろ驚いている。まあそろそろ限界だろうが。

いますべきことはリストラ前提の免許更新制ではない。警察予算を増やす余裕があるならほかにすべきことはいくらでもあるはずだ。

posted by Aequitas at 18:45 | 沖縄 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 教育基本法
2006年05月26日

As provided by law...

今日、 26日は国会で教育基本法の条文変更について集中審議が行われた。 社民党保坂展人議員の「どこどこ日記」 によれば1日で7時間という長さだ。 果たして生産的な議論が行われているのかどうか…。ネタとベタの区別もつかずに吠えるばかりで、 考えるのが苦手なセンセイたちは 「もういいよ、わかんね」とばかりに疲れてグッタリかもしれない。

政府案が示され、この話題が盛り上がり始めたあたりから様々なブログを見ているのだが、一番新鮮で、蒙を啓かせられたのは 「
マスメディアが民衆を裏切る、12の方法」 の4月26日更新のエントリで示された論点だ。??よみがえる利権??「法律の定めるところにより」という「逃げ口上」??と題されたこの記事でブロガーの竹山氏は「??愛国心??論争は文部官僚、自民党文教族によって巧妙に仕立て上げられた囮、 煙幕に過ぎない。作成者の真の狙いは60年の雌伏のときを経て蘇った??法律の定めるところにより??という文言にこそある」と喝破する。
そして??不当な支配??の主体は公権力そのものであることを当時の資料や議事録をもとに証明してみせるのだ。

この文言挿入が何を意味するのか。別のブログを引用する。「
教育基本法ね」の古山明男氏は21日付の?? 「法律の定めるところにより」 は、日本教育の自滅??でこう指摘する。

 

いま、教育を規定しているのは「学校教育法」という法律です。とにかく、 この法律の手口を知らないといけない。この法律はまず   「??は文部大臣が定めるものとする」 と法律の条文に書きます。それから、文科省の省令が作られて、具体的なことを定めます。たとえば、1学級人数だとか、 授業時数だとか。
省令は、法律の裏づけがあるから、法律と同じに働きます。さらに省令に付随させて文科省告示というのに詳しいことを書くこともあります。 有名な文科省指導要領というのは、この告示です。さらに、文科省通達というのを出して、「その省令はこのように運営せよ」 というようなことを言います。これが、 実質的命令になります。 
文科省の専制政治なのです。文科省が東京のオフィスから指示しているのですから、 実情にあわないこともいっぱいあるはずです。 ところが、それに対して教育委員会も学校も保護者・住民も、 問題点を指摘できるルートがまったくないのです。
 

これによって、違法状態が常態化していたとはいえ、 これまでは法律で歯止めのあった??公権力による不当な支配??が法律上もお墨付きを得ることになるわけだ。これは大変な変化だと思う。

その一方で大新聞のピンボケぶりといったらない。以下に一部引用するのは26日付読売新聞の社説
[教育基本法改正] 「共通点が多い政府案と民主党案」である。

  今後、特別委の審議は、 政府案と民主党案を土台に共同修正協議に進む可能性もある。 両法案が主要な点で共通していることを見れば、 共同修正もそう難しいことではないだろう。
共産党などの一部野党や教職員組合は、「愛国心の強制だ」「内心の自由の侵害だ」と廃案を主張している。自国の伝統や文化に関心を持ち、 理解し、国を愛するという価値観を形成できるよう「指導」することは、「強制」とは全く次元が違う。 諸外国ではごく当たり前のこととして教えている愛国心について、きちんと子どもたちに指導できない教員の方にこそ問題があろう。
教育基本法の制定から60年を前に、新しい日本の教育の理念を定める初めての改正へ、実質審議の幕が開いた。 拙速に流れることなく最良の改正案を目指し、内容全般にわたる十分な論議を求めたい。

相変わらずの対案病に冒されている民主党同様、 単に愛国心の陥穽にはまっているのかもしらんけど、 それにしてもちょっとデキが悪い。全体を読むとただの委員会傍聴記だ。    「最良の改正案」 と言うけれど教育に最良なんてありえんし(裁量はあるか)、そもそも今なぜ 「新しい教育の理念を定める」 必要があるのかついて何も語らないのはどういうわけか。「内容全般」って何の内容?  こんな文章が通ってしまう意味がわからない。 社説で論説委員本人の感情を吐露してどうする? 
書いた論説委員も「専門外だし良く知らね??」のかもしれないが、それを読まされたこちらは時間を損した気分だ。

 

posted by Aequitas at 22:03 | 沖縄 ☀ | Comment(1) | TrackBack(2) | 教育基本法

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